シミュレーションの設定と実行

Enterprise Architectのユニファイド版以上のエディションでは、作成したモデルから、ModelicaあるいはMATLAB Simulinkのモデルを自動生成し、パラメトリック図のシミュレーションを行うことができます。

Enterprise Architect は OpenModelica と MATLAB Simulink の両方との統合を提供し、さまざまな状況下で SysML モデルがどのように振る舞うかを評価できます。

OpenModelica ライブラリは、多くの有用な型や関数、モデルを提供する包括的なリソースです。Enterprise Architect で SysML モデルを作成する際には、これらのライブラリで利用可能なリソースを参照できます。

Enterprise Architect の MATLAB 統合は MATLAB API を介して接続され、Enterprise Architect のシミュレーションやその他のスクリプトは、利用可能な MATLAB 関数や式の値に基づいて動作します。ソルバークラスを介してMATLABを呼び出したり、モデルをMATLAB Simulink・Simscape・Stateflowに出力できます。

この章では、パラメトリック図の定義・モデルに対する必要な情報の追加・シミュレーションの実行までの概要を説明します。

SysPhSの特徴

SysPhSモデルは、性能や信頼性などの物理的特性の評価を含む、システムの分析を支援します。SysPhSモデルは、複雑な数学的関係に基づいた実行可能な制約を捉え、要求モデルとシステム設計モデルとして表現します。パラメトリック図は、特殊な内部ブロック図であり、設計者が動作モデルや構造モデルを、性能・信頼性・質量特性モデルなどのエンジニアリング分析モデルと組み合わせる際に役立ちます。

SysMLのパラメトリック図の概念の詳細については、OMG SysML の公式Web サイトをご覧ください。

このヘルプでは、SysMLとSysPhSを使ってシステムエンジニアリングのシミュレーションを定義・実行するための主な機能や方法について説明します。

項目	説明
SysPhS仕様への対応	SysPhSとは、SysML Extension for Physical Interaction and Signal Flow Simulation (物理的な相互作用と信号の流れのシミュレーションのためのSysML拡張規格)です。SysMLモデルとModelicaモデルやSimulink/Simscapeモデルを変換する標準的な方法を定義しており、よりシンプルなモデルベースのシミュレーションの共有方法を提供しています。 (参考:SysPhS シミュレーション)
SysMLSimConfiguration成果物	Enterprise Architectでパラメトリック図のシミュレーションを実行する場合には、シミュレーションを実行するために必要となる、モデルに対するさまざまな追加情報の設定が必要です。パラメトリック図の内容とその追加情報を元にOpenModelicaあるいはSimulinkのモデルを生成し、シミュレーションを実行します。シミュレーションに関する設定は、SysMLSimConfiguration成果物に保存されます。この設定を保存する成果物要素を複数作成することで、1つのモデルに対してさまざまな設定でシミュレーションを実行できます。SysMLSimConfiguration成果物は、ツールボックスの拡張要素グループにある成果物要素をドラッグして作成できます。
シミュレーションタブ	SysMLシミュレーションを実行する場合に利用する画面については、「SysMLシミュレーションの設定タブ」のトピックで説明します。
生成された内容の参照	ModelicaまたはSimulinkにモデルが生成されると、外部アプリケーションでそのモデルを直接操作できます。
動作しない場合の確認事項	生成されたスクリプトにエラーが発生する原因は様々ですが、ここではモデルに発生した問題の原因を特定するためのヒントを紹介します。
データセットの利用	シミュレーションを扱う際には、複数の異なる状況(設定値)で実行し比較する場合があります。このような場合、複数のデータセットを定義することで、同じSysMLモデルを使って異なるシミュレーションを実行できます。
SysPhSシミュレーションのサンプル	SysPhSモデルの作成方法とシミュレーション方法を理解するために、3つの異なる分野の例を挙げています。この3つの例では、すべてOpenModelicaのライブラリを使用しています。

参照: