Enterprise Architectの利用事例:1
独立系のシステム・ソリューション・ベンダーとして有名なA社では、主にJavaを利用したWebアプリケーションの開発を中心に、多くのシステムを手がけています。約1年前から、社内の標準化の取り組みをはじめました。標準化の作業はコンサルタントの協力を得て開発プロセスの定義などを行い、そのプラットフォームとしてスパークスシステムズジャパンのEnterprise Architectが採用されました。
今回は、この標準化の作業に取り組んでいる部署の責任者であるBさんと、部署で実際に作業を行っているエンジニアの皆さんにお話を伺うことができました。
Enterprise Architect選択の決め手と問題点
Q:
標準化をすると決めた理由を教えてください。
A:
今まで、Javaを利用したWebアプリケーション開発は数多く手がけてきていますが、プロジェクトごとにその方法は異なっていました。そうした問題を解決するために、約1年かけて開発の標準化を進めてきました。コンサルタントにも入ってもらい、プロセスなど開発に必要なことをすべて定義しました。
Q:
標準化を進める中で、Enterprise Architectの利用方法はどのようになるでしょうか?
A:
今後、標準化のプロセスとあわせてEnterprise Architectも全社に展開していく予定です。
Q:
数多くUMLツールがある中で、Enterprise Architect選択の決め手になったのは何でしょうか?
A:
評価の結果、UMLモデリングの機能はどのツールもそれほど大差なく、基本的な機能についてはそれほど差はありませんでした。その中で決め手になったのは、価格でした。全社に展開するにあたって、展開可能な現実的な価格であったことが大きな要因でした。
Enterprise Architectはかなり前から知っていて、標準化の際にEnterprise Architectを採用することは決めていました。
Q:
導入にあたり、問題点などがありましたら教えてください。
A:
製品の知名度が低く、会社の規模も小さいということなど、いくつか導入に際して壁になったこともありました。値段や機能など有利な点も多くありましたが、役員の中には今でも「理解はするが納得はしていない」人もいると思います。このあたりは今後の課題です。
Enterprise Architectの使い方
Q:
Enterprise Architectはどのように使っていますか?
A:
UMLのモデリングだけでなく、データベース設計をUMLのクラス図で行ったり、画面設計をカスタム図で行ったりしています。
Q:
使い方で工夫している点はありますか?
A:
データベース設計については、独自のExcelフォーマットに対応させるために、リポジトリに格納されているモデルデータから直接Excelファイルを生成しています。また、画面設計については、設計した結果を抽出して、Strutsで利用するためのテンプレートに情報を入れて、ある程度のソースコードを生成できるようになっています。この部分は独自に開発し、便利に利用しています。
Enterprise Architectのメリット
Q:
Enterprise Architectを選択してよかった点はありますか?
A:
まず、UMLモデルのデータだけでなく、いろいろなデータを一元管理できる点は大きな長所です。また、そのデータを利用する場合に複数の人が同時にアクセスできるというのも大きいです。
さらに、データベースから直接データを取得して加工するなど、データの利用も簡単なので、ツールだけの世界に閉じずにいろいろな応用方法が考えられるのもよい点です。
インタビューを終えて
このA社では、Enterprise Architectの特徴的な機能のひとつであるカスタム図の画面設計機能を利用して、実際にソースコードの生成まで結び付けている点が印象的でした。この画面設計機能をこのような形で利用しているというのは、他には例を聞いたことがありませんでした。将来的には、ロバストネス図のバウンダリ要素とこの画面を結びつけて、より連携を深めていくことも考えているようです。
標準化にあたりツールの使い方を含めた研修コースなども準備しているということなので、今後より多くの開発者の皆様がEnterprise Architectを利用することになるかと思います。弊社としても、壁をおしての導入を裏切ることのないよう、日々よりよいツールの提供に向けて努力してまいります。知名度や会社の規模・安定性という面についても、今後半年間でさまざまな改善をすることをお約束いたしました。
利用方法概要
項目 | 対応 |
利用している種類と本数 | コーポレート版 8本 (2006/9現在では合計28ライセンス) |
利用しているUMLとダイアグラム | UML1.4
|
UML規約への遵守 | ○ |
データの保存形式 | Oracleリポジトリ |
EAをカスタマイズしたか? | カスタマイズなし |
アドインは利用したか? | (不明) |
独自のアドインは作成したか? | ○ |
EAの新しいビルド・バージョンが 出た場合の対応 | (不明) |