UMLツール Enterprise Architect
UMLとは?
UML (Unified Modeling Language・統一モデリング言語)とは、OMG (Object Management Group)が管理する、オブジェクト指向に基づくソフトウェアの設計を表現するために考案された記法です。ただし、汎用的な記法となっていますので、オブジェクト指向に限らずさまざまな考え方でも利用可能であり、またソフトウェアに限らず他の対象に対しても利用することができます。しかし、方法論は含まないため、14種類ある図およびそれぞれの図で利用できる要素・接続(関係)をどのように利用するかは、UMLの仕様では定義されていません。
UMLにはバージョンがあり、バージョン1.5までとバージョン2.0以降では大きく異なります。現在は、バージョン2.0以降が利用されることが多いです。2021年5月現在での最新バージョンは2.5.1です。一部のバージョンは、ISO/IECおよびJISで標準化されています。
UMLの図(ダイアグラム)
UMLの仕様では、14種類の図(ダイアグラム)が定義されています。このうち、プロファイル図は用途が特殊なため、実質的には13種類となります。この13種類の図を全て利用することはないと言ってもよく、対象と目的に応じていくつかの図を利用することになります。
- 構造を表現するための図
- パッケージ図
- クラス図
- オブジェクト図
- コンポジット構造図
- コンポーネント図
- 配置図
- 振る舞いを表現するための図
- ユースケース図
- アクティビティ図
- ステートマシン図
- コミュニケーション図
- シーケンス図
- タイミング図
- 相互作用概要図
UMLでは、それぞれの図で利用できる要素や要素間の接続(関係)も多数定義されています。これらについても、全ての要素と接続を利用することはないと言ってもよく、目的に合わせて利用する要素と接続を決める必要があります。また、ノート要素など図の種類に依存しない要素や接続もあります。
UMLを利用するメリット
ソフトウェアが複雑になるにつれ、その構造や振る舞いを文章と表でわかりやすく表現することは困難になってきています。設計を図として分かりやすく表現するための方法(記法)として、データフロー図(DFD)やフローチャートなどさまざまな表記方法が存在し、会社や組織独自の表記方法が利用されている場合も少なくありません。しかし、データフロー図やフローチャートなどでは、ソフトウェアの設計の一面しか表現できません。独自の表記方法では会社や組織に依存しない、例えば外部に公開される共通の仕様・規格などで採用することはできません。UMLを利用することで、1つの仕様でさまざまな範囲をカバーすることができ、また企業・組織に依存しない記法として幅広く活用することができます。
そのほか、作成した内容からソースコードを自動生成したり、シミュレーションを実行したりすることができることもメリットとして挙げられることがありますが、こうしたメリットを享受するためには、対応する機能を持つUMLモデリングツール(UMLツール)が必要です。
UMLモデリングツール(UML Modeling Tool)を利用しなくても、汎用的な作図ツール(ドローツール・ダイアグラミングツール)を利用することでもUMLは利用できます。しかし、UMLモデリングツールを利用することで効率的な作図が可能になるだけでなく、文法に合致している図を書く支援機能や、ソースコード生成など作成した図の内容を活用するためのさまざまな機能を利用できるようになります。また、作成した複数の図間の連携・編集の反映・トレーサビリティの確保などの機能も利用できるようになります。
Enterprise Architectを利用したUMLのモデリング
Enterprise Architectでは、UML 2.5.1で定義される14種類の全ての図の図を書くことができます。UMLを利用したモデリングを効率よく行うために、Enterprise Architect独自の「クイックリンク」機能などの作図を支援する機能の他、作成した内容の整合性や影響範囲の確認をするために利用できるトレーサビリティ機能など作成した内容を活用するためのさまざまな機能を搭載しています。
そのほか、ソースコードやWordドキュメントの自動生成機能やシミュレーション機能も搭載しています。モデリングツールとしての主な機能につきましては、Enterprise Architectの機能概要のページをご覧ください。
UMLのモデリングの概要(動画デモ)
UMLを利用したモデリングの概要を動画で説明しています。(4分15秒・音声あり)
評価について
UMLツール(UMLモデリングツール)の評価につきましては、Enterprise Architect評価版をご利用下さい。評価版につきましてはこちらのページをご覧下さい。