UML/SysMLモデリングツールの選び方

ここでは、UML/SysMLモデリングツールをどのようにして選ぶのが良いかという観点をご紹介します。

はじめに

UMLは2000年頃に「ブーム」があり、多くの企業がUMLモデリングツールを購入し、導入しようとしました。しかし、その時点でUMLの導入に成功し、その後も設計の基盤として確立しているという話は多くありませんでした。

現在は、以前のような華々しさはありませんが、決して少ないとは言えない数の企業がUMLを導入し、設計の表記方法として活用しています。UMLを導入することで、Word/Excelなどの文章を利用した設計で問題となる「曖昧さ」を排除し、設計を可視化して相互理解を促進しています。また、システムズエンジニアリング領域を対象に、UMLを元に作られた記法SysMLについても、同様の位置づけとして、徐々に広まっています。

これらの「成功している企業」は、以前のブームのときの失敗点を避けて現在の成功に結び付けています。その内容は、大きく次の3点にあります。

  • 時間をかけて、徐々に導入する
    →ツールを導入すればUML/SysMLが利用できるものではない!
  • しっかりとした教育を行い、オブジェクト指向やシステムズエンジニアリングについての知識を身につけている
    →UML/SysMLの記号を学ぶだけで活用できるものではない!
  • 一人一人がUML/SysMLモデリングツールを利用できる環境を整備し、設計開発プロセスの一部としてツールを活用している
    →ツールはUML/SysMLを書くためだけの道具ではない!

導入によって効果が出ている企業は、この3点についてそれなりの時間とコストをかけているように思われます。すぐには効果は出ませんので、長い目で見る必要があります。一般論として、新しい技術の導入と普及・定着には3年程度が必要と言われています。

ここからは、上記3番目の項目の「ツール」について、さらに考えていきます。

UML/SysMLモデリングツールはみんな同じではない

現在、多くのUML/SysMLモデリングツールが市場にあふれています。無料のものから7桁の価格のものまで、さまざまなツールがあります。そして、それぞれのツールには特徴や得意分野があります。

ここで問題になるのは、「どのツールも同じ」ではないということです。このツールの選択を間違えると、設計開発の過程において不要な苦労をしなければなりません。逆に言えば、適切なツールを選択し、適切に活用することで、設計開発の効率を向上させることができます。

では、ツールの選択において、具体的にはどのようなことに気をつける必要があるのでしょうか? 次のページでは、選択する際に重要になる考え方を説明します。

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